2012年7月20日金曜日

東京電力株式会社による電気料金値上げに関する要請について

東京電力は、平成24年5月11日に、経済産業大臣に対して家庭等規制部門における電気料金値上げの申請を行った。これを踏まえ、経済産業省は、中立的・客観的かつ専門的な観点から、新たに総合資源エネルギー調査会のもとに、電気料金審査専門委員会を設置し、先般、料金申請に対する査定方針案を取りまとめた。
一方、消費者庁においても、東京電力の家庭用電気料金値上げ認可申請に関するチェックポイント検討チームを設置し、消費者の視点に立って、値上げ申請が厳正に行われているかについて確認を行い、チェックポイントを詳細版に改定するなど、国民の理解が得られるよう情報提供に努めてきた。
しかしながら、電気は、国民生活を支える上で欠かすことのできない生活必需財であり、料金の値上げは、国民生活に対する影響が甚大であるので、1兆円もの公的資金が投入される事態を踏まえ、消費者庁においては、電気料金の値上げ幅について、消費者の負担が極小化されるよう消費者の意見を汲み取る必要が求められるとともに、料金認可の手続きや費用の内訳等、消費者からの理解が得られるよう一層の情報提供を行う必要がある。

上記の趣旨を踏まえ、具体的に、以下の内容を要請する。

                   記

【1】電気料金審査専門委員会において示された東京電力株式会社の供給
   約款変更認可申請に係る査定方針案に対して、消費者庁として料金
   現下の適正性について十分に検証を行い、消費者の納得が得られる
   ようにすること。
   また、消費者庁において、この検証結果について公表を行うこと。

(1)人件費・厚生費
   給与・賞与等の人件費は、過去の公的資金投入企業の事例を踏まえ最大限の
   圧縮となっているか。厚生費は、必要最低限の額のみを計上し、国民の理解
   を得られるものとなっているか。

(2)燃料費
   原価査定期間内に契約が満了するものについて、共同調達の実施など、最大
   限の効率化が図られたものとなっているか。

(3)設備投資関連費用
   電気事業の運営にとって真に必要不可欠なもののみを原価の対象として
   いるか。
   また、調達先が競争入札を行うことを原則としているか。

(4)安定化維持、賠償業務対応費用
   福島第一原子力発電所に係る賠償対応費用・安定化費用と料金原価に含める
   ことの妥当性について、明確かつ合理的な説明がなされているか。

(5)資産売却
   東京電力が保有する不動産や子会社の株式、子会社等が所有する資産の
   徹底的な売却を進める等、費用の圧縮が行われているか。

【2】事業環境の変化により、規制部門と自由化部門の損益構造のバランス
   は、申請認可時と比べて、著しく公平性を欠くものとなっており、
   国民からの理解を得ることは困難である。このため、認可後も、規制
   部門と自由化部門の損益構造のバランスを確保すること。

【3】従来の電気料金制度では、電力会社は、総括原価方式に基づき、全て
   の費用を自動的に電気料金として回収してきたが、この結果、電力
   会社における経営効率化は進まず、過剰な原価が認められてきた。
   このため、総括原価方式を早急に見直し、料金の適正性を確保する
   こと。

【4】消費者庁において、電気料金を始めとする各種公共料金の検証体制を
   整備し、消費者の意見を十分に汲み取れるようにすること。

平成24年7月18日
自由民主党消費者問題調査会