2012年1月10日火曜日

中韓首脳会談と火炎瓶事件

9日、韓国の李明博大統領は中国を訪れ、胡錦濤国家主席と会談し金正恩体制が発足した北朝鮮への対応と朝鮮半島の安定に向けた連携を強化していくことを確認したとのこと。

しかしながら、両国の言う「朝鮮半島の安定」の意図はもともと異なっていた。中国の意図は「現状維持」であり、韓国の意図は「南北の平和的統一」であった。

しかし、今年大統領選挙を控えた李明博大統領が、選挙時に争点の一つになるであろう「南北問題」について、特に北朝鮮が新体制になったことから、改めて中国の理解を得たいと思うのは自然である。

そのために金正日体制時と比べ、中韓関係での立ち位置を微妙に変えることも予想される。両国は今年、国交樹立20周年を迎えることもあり、会談でFTA交渉を促進することでも合意したとのことだが、これも李明博大統領が今まで以上に中国を意識しているということかもしれない。

折しも8日、ソウルで日本大使館に中国人が火炎瓶を投げつける事件が発生した。しかもこの犯人は先月26日に靖国神社に放火したことも自供しているとのこと。

日本政府としては今後、日本での取り調べのため身柄引き渡しを求めていくことになるが、韓国側の対応が注目だ。中国に「配慮」し引き渡しをためらうようなことがあるなら問題だ。日韓関係の悪化に発展することにもなる。

そういう事態にならないために、逆に日本に「配慮」させるようにするのが本来の外交力である。

残念ながら現政権にはそれだけの「外交手腕」の持ち主は見当たらない。